12月7日から13日に佐久大学から3人の教員が出向き、タイとベトナムで、看護教員及び臨床で看護学生の教育に携わっている人を対象に老年看護学教育に関するセミナーを開催しました。
11月25日までの日本国内研修を終えたタイ、ベトナムの看護大学教員を核に、①12月8日にチョンブリ県バンセン市の国立ブラパ大学看護学部で、②12月9日にバンコク在タイ日本国大使館で、③12月11-12日にホーチミン市のファン・ノック・タン国立医療大学看護医療技術学部でセミナーが行われました。本学教員の講義に加え、佐久大学などで研修を受けた各国の教員も「老年看護学に於ける日本での気づき」について発表しました。
両国とも日本に比べて高齢化率は低いですが、タイ(60歳以上の高齢人口割合14%)では、すでに老年看護学が4~6単位(60~90時間)の教科となり、実習場所は、病院、養老院、家庭訪問が含まれていました。参加者の質問から、タイでは高齢者看護教育が進んでおり、今後更に必要とする情報は、現在は有病率の低い認知症ケア、地域在宅ケア、および施設におけるケアであることが伺えました。
一方、ベトナム(60歳以上の高齢人口割合7%)では、老年看護学は全く新しい領域であり、老年看護学を専門に担当する教員はいない、学内演習の設備もない、実習施設は病院のみという状況でした。
また、両国とも老年看護学が成人看護学や基礎看護学などの領域から独立していない大学が多いのが実情でした。
このような状態のなかで、「高齢の患者」だけではなく、あらゆる健康レベルの高齢者を理解し、看護を考えるためのカリキュラムの組み方、演習・実習の指導方法などについて講義を行いました。高齢者の疑似体験キットの装着、DVDなど視覚的教材を組み入れた今回のプログラムは大変好評で、どの会場もほぼ満席(80人)となりました。ASEAN諸国に於ける高齢者ケアの課題は、今後ますます高まることは確実であり、老年看護学を早急に発展させる必要があります。今後も日本の経験、知見が大いに生かされるであろう、と確信しました。
■2015年12月8日 タイ、於国立ブラパ大学
ブラパ大学の会場で準備中の堀内教授 講義後、タイ語での質問も受け付けました。
■2015年12月9日 ベトナム、於ホーチミン市、国立ファン・ノック・タック医療大学
タイ老年看護学会会長(右から2人目) バンコクの会場は、教員が多く教育内容、実習指導
も出席されました。 に関する質疑が多くみられました。
日本についての質問は、日本で研修を終えたブラパ大学
ポアンチャイ助教授が回答に解説をつけてくれました。
Dr. Cao Van看護医療技術学部長の開会あいさつ 佐久大学堀内学部長あいさつ
高齢者の疑似体験をしました。 高齢者のイメージについて発言し、記入しました。
佐久大学