カリキュラム

本学の教育理念「自律 創造 友愛」および教育目標に基づき、7つのディプロマ・ポリシーを掲げ、その達成に向けてカリキュラムを編成しています。専門職者としてのプロフェッショナリズムの育成を主要な柱として、あらゆる健康レベルの人々を、個人、家族、地域、社会(国際)の視点からとらえ、必要な看護を展開する能力を養います。

カリキュラム

科目紹介

看護学部の教育課程は、基盤科目・専門基礎科目・専門科目と大きく3つに区分されています。
基盤科目では、豊かな人間性と人間理解を支える幅広い教養を身に付けるための数多くの科目が配置されており、さらに生涯自律的に学修し続けるためのスキルも学びます。
専門基礎科目では、看護を学ぶ上で基本となる医学的知識、看護学の基本となる理論、知識、技術に関する科目が配置されています。
専門科目では、看護実践能力を高めるための専門的な知識、技術を学ぶ科目で構成されています。さらに、「看護倫理」や「看護研究」を学び、質の高い看護を探求する姿勢を養います。

専門科目

看護基礎理論

看護学の基礎となる考え方「健康」をどのようにとらえるか、環境が健康に及ぼす影響について、また「人間」のとらえ方、その行動や文化社会的な影響などを学習し、看護活動がどのように構成されるかを学びます。また看護教育の歴史や倫理、海外の保健制度や看護活動などについても学びます。

災害看護論

災害時において看護職が果たす役割、医療チームにおける他職種との連携などについて学び、災害直後・初期に発生する人々のニーズと健康問題の理解、被災者にもたらす中・長期的な身体的、心理的、社会的な影響と看護の役割について考察します。さらに、緊急救援活動についても考えていきます。

家族看護論

看護を提供していく上で、重要となるのが患者さんの背景です。その中に「家族」という身近な存在があります。家族の中に危機的な変化が起きたとき、改めて家族の存在を再認識するのではないでしょうか。危機的状況の中で家族にどんな援助が必要であるかを学んでいきます。改めて家族の大切さや重要性を再認識できる授業です。

成人看護学

成人看護学では、子どもと高齢者の間にあたる、大人への看護について学びます。学び・働き・つながり・次世代を育て・親世代をケアする等、多くの役割を担う成人の方及びその家族への健康支援と看護について学びます。

精神看護学

精神の健康とは何か、基盤となる自我の発達と人格の形成などを学び、自己理解に努めます。さらに、他者を理解することの大切さと難しさ、コミュニケーション技法を学びます。また、精神疾患は誰もがなりうる疾患であり、病棟や地域における看護や支援法についても学びます。

老年看護学

老いるとはどのようなことでしょう。私たちはその人の真の気持ちを知ることは難しいですが、理解しようと努力することはできます。加齢変化やその生活への影響について学び、個々の高齢者の考え方や生活を理解し、最期の時までを含めて、高齢者および家族へのケアについて学びます。

小児看護学

病気の有無に関わらず、すべての子どもが小児看護の対象です。私たちの社会の中で子どもはどのような存在か考えながら、子どもの成長・発達や健康レベルを踏まえ、子どもとその家族が人として尊重され、活き活きと生活できるような援助の知識と技術を学びます。

母性看護学

子どもの誕生によって家族として新たな関係に移行していく時期の母子、家族への支援に焦点を当てます。また、次世代の健全育成を目指し、母性機能の発達および生涯を通した性と生殖に関する健康の維持・増進・疾病予防を目的とした看護支援の方法を学びます

地域看護学

地域看護学は、地域の人々が生活の中で健康を維持し、疾病を予防し、回復していくことを援助する分野です。概論、援助論、システム論で、乳幼児から高齢者までの様々なライフステージの人々を対象に、自宅、学校、職場などの場で、在宅の療養者と家族を支える訪問看護の方法や、家族や地域の単位で支援する方法を学びます。

看護研究方法Ⅰ・Ⅱ

研究とはなにか、看護における研究の必要性、看護研究のプロセスについて学びます。看護研究方法Ⅰでは、看護に関する研究論文の検索方法や読み方を修得します。さらに、自分が興味・関心をもった看護現象に関する文献検討を通して、研究疑問(リサーチ・クエスチョン)を導き出します。看護研究方法Ⅱでは、さまざまな研究方法と研究計画書の書き方について学びます。

看護学研究

1年次から3年次までの学修を通して、自分が興味・関心をもった看護現象について研究を進めていくための研究計画書を作成します。担当指導教員と共にゼミナール形式で研究疑問(リサーチ・クエスチョン)を明らかにし、具体的な研究方法について検討します。この過程を通して看護活動を支える科学的根拠の重要性を理解し、主体的・自律的な学修姿勢を修得していきます。

国際看護論

外国の看護事情を理解し、日本との相違点、類似点を知って国際的な視点を育てます。夏休みを利用してタイ国セントルイス大学を訪問し、講義(英語)、施設見学、各国の学生との交流や意見交換を通じ、その国の保健事情に応じた医療制度や看護職の活躍状況、医療サービスの提供のあり方を学びます。

看護管理論

看護活動を効果的に進めるための管理的視点を学ぶ科目です。医療制度の中で看護が担う役割、看護ケアを効果的に提供するためのシステムやケアの経済的効果などについて理解し、看護活動を組織、運営していくために必要な組織論、リーダーシップ論などを、講義・演習を通して学習します。

導入基礎演習

1年次前期に開講し、主体的学修の進め方や文献検索技術など“学び方を学ぶ”方法を解説します。ポートフォリオ作成では学修計画を確認し、プロジェクト学修では、チームで探究的に活動し、発表会(公開)を実施します。この中で、コミュニケーション力、プレゼンテーション力を開発していきます。

専門基礎科目

形態機能学

様々な器官系の学修をとおし、人が日常生活を営む際にどのように身体の構造・機能が動いているか、そして、人間の健康障害や疾病、病態生理とどのように関連しているのかを学びます。

足と健康

「歩く」を支える「足」の機能、足のトラブルと「靴」との関係、姿勢や歩行分析の基礎知識と技術を活用してあらゆる年代の人が健やかに歩くことを支えるためのケアが習慣できるように学びます。

基盤科目

生命倫理

医療に携わる職業人として、生命の尊厳と尊重の精神を理解し、真実を知る事の意味と看護師としての支え方等、現場での課題に正面から向かい合い、一緒に考えることが大切です。当科目では、多様な価値観や考え方の中で、正解のない問いに応え続けていくために専門職者として必要な行動基盤を学びます。

人間関係とコミュニケーション

自己や自我の認識、自己と他者との関係、他者相互間の関係等について理解を深め、人と人との関係の多様なあり方を学びます。また、人間関係上の問題解決のための基本的な方法論として、人間関係形成のための行動やコミュニケーションの取り方等について多面的に理解していきます。

人間心理と人間行動

人間の行動(言動)や反応は、内面の心理(認知構造等)を通して行われます。当科目では、人間がみせる様々な行動の意味、行動化の原因としての心の働きやメカニズムを科学的な側面から探究し、人間の行動と心の働きの関連を理解することで、人間の多様な心と行動の理解を深めます。

実習一覧

1年次の実習は地域で暮らす人々の生活の場に出向きます。病院等の臨地実習は、2年次前期のEBN実習Ⅰ・Ⅱに始まり、3年次の各看護専門領域の実習、4年次の看護総合実習と積み重ねていきます。臨地での実習では、それまで学んだ知識・スキル・考え方を用いて、対象に必要な看護を考え実践していきます。その体験を通して、対象の個別性(多様性)の理解の重要性、支援におけるチームとしての連携の重要性等を理解するとともに、看護職者としてのプロフェッショナリズムを涵養します。

地域生活者交流実習

地域で暮らす人々の生活の場に出向き、住民とのコミュニケーションを通し、日常生活の様子や健康に対する思い、家族や近隣の人々とのつながりについて考えます。また、地域で暮らす人々がよりよく生活するための様々な保健・医療・福祉に関する社会資源を知り、看護職の役割について学修します。

EBN実習

2年次に開講する本実習は看護学実習として臨床で学ぶ最初の科目であり、学修進度を考慮した「Ⅰ」と「Ⅱ」があります。実習の考え方や進め方は、次の3つの柱で構成されています。
① Evidence-Based Nursing* ② Team-Based Learning ③ Professionalism
・EBN実習Ⅰは、地域の病院や施設において、授業で学んだ「看護・人間・健康・環境」の理解を深めます。同時に、看護職の機能や役割、ふさわしい態度について実際に学びます。
・EBN実習Ⅱは、 実際の患者様を担当し、看護職になりきって(like a nurse)EBNを実践することを目指します。その実践中に、自らに沸き起こる「感覚」を重視し、専門職としての「五感」を磨いていきます。

*Evidence-Based Nursing: 科学的根拠と専門知識に基づくだけでなく、患者に関心を向け、対話し、理解することで患者中心の看護を行うこと。

成人看護学実習

急性期にある成人、治療を受ける成人に必要な看護を理解し、看護過程を用いて対象の病状や経過に合った看護、対象の健康状態や生活に合った看護を実践する基本を学びます。

老年看護学実習

病院や施設で生活する高齢者とその家族を対象に、健康課題をもつ高齢者のライフヒストリー(生活史)や強みに焦点をあて、その人らしい生活を支えるための看護を学びます。

精神看護学実習

心をケアするという精神看護の特性を理解し、適切に看護を展開するための知識、技術、態度を習得します。治療的コミュニケーションの技法や薬物療法について理解を深め、精神疾患を持つ方への看護援助の実際を学びます。

小児看護学実習

子どもと家族の特性を理解し、子どもの成長発達および健康レベルに応じた小児看護の実践に必要な基礎的能力を養います。また、子どもが医療およびケアを受けているそれぞれの場で、子ども・家族・支援者とかかわりながら、支援できる力を養います。

母性看護学実習

周産期母子の看護ケアの特殊性を理解し、適切に看護を展開するために必要な知識・技術・態度を学びます。妊娠・分娩・産褥・育児期にある母子への看護とともに、時代を育む家族機能と支援について学びます。

在宅看護学実習

在宅療養者及びその家族の生活の質を高め、対象の自立支援を目指した在宅看護について訪問看護の実践を通して学びます。また、訪問看護ステーションを拠点に、保健・医療・福祉の関係機関・関係職種との効果的な連携のあり方を学びます。

地域看護学実習

市町村保健センター・保健所・小中学校等での実習を通して、地域の人々への健康支援を学びます。生活環境と健康との関係をアセスメントして、地域における人々のよりよい生活や健康を向上するための活動方法を学びます。

看護総合実習

看護の知識と技術を総合的に応用し、保健医療福祉チームの一員として、状況に即した看護実践の方法を学びます。学びの集大成として、各自の看護観や関心に基づいて実習目標や実習計画を立て、学生が主体的に取り組みます。